看護介護活動研究交流集会あいさつ
第16回 神奈川民医連 看護介護活動研究交流集会へのご挨拶
あいさつ
神奈川県民主医療機関連合会 会長
野末浩之
神奈川民医連に働く看護・介護職の皆さん。第16回 看護・介護活動交流集会の開催、おめでとうございます。コロナ禍の影響を受けて抄録集の発行のみとなった第15回の交流集会から2年が経過しました。今回はオンラインでの開催となります。
本集会のテーマは「コロナ禍でも孤独にさせない、大切な命を守る」そして「距離が必要な今こそ手と手をつなごう」となっています。まさに私たちの暮らす日本・そして世界の現状を的確に捉えたものだと思います。全体会の講師には多世代・多文化の人々が集まる介護付き住宅「はっぴーの家ろっけん」代表の首藤義敬さんのお話を伺います。子どもや若者、外国人などが高齢者介護に関わることで、コミュニティが活性化してゆく取り組みを学べることを楽しみにしています。文化企画はゴスペル「The SOULMATICS」の皆さんをお迎えします。以前県連学術運動交流集会でも歌声を披露してくださいました。そして分散会では私たちのこの間の看護・介護の取り組みの広がり、深化を表す60本の演題が発表されます。
さて、2022年4月の時点でなおロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。2月24日のロシアの侵攻開始以来、国外に逃れたウクライナ人は国連機関の集計で500万人を超えています(4月15日現在)。自らの危険もある中で、傷ついた人々のケアに当たる看護・介護職の方々に敬意を表するものです。私は今回侵略の舞台となったクリミア半島の地名を聞いて、フローレンス・ナイチンゲールの名前を真っ先に思い出しました。彼女が1854年に勃発したクリミア戦争に際し、負傷兵たちへの献身や衛生状態の改善により「クリミアの天使」と呼ばれたことは、看護職員だけでなく多くの国民の知るところです。21世紀に同じ地で起きたこの侵略戦争において、国連憲章に反する戦争をやめさせるように私たちが声を上げ続けてゆく事が、何より重要です。日本国は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」ことを憲法で宣言しています。皆様にはこれからも平和憲法の理念を大切にして、反戦そして難民の支援等に取り組まれる事をお願いいたします。
最後になりましたが、鈴木奈美委員長をはじめとした実行委員会の皆様、演題発表を準備された皆様、そしてすべての参加者の皆様に御礼を申し上げて、ご挨拶の結びといたします。
実行委員長 鈴木 奈美
神奈川県民医連 第16回看護・介護活動研究交流集会にご参加いただき、誠にありがとうございます。また、多くの事例や研究、活動報告をまとめるにあたりご尽力いただいた関係者のみなさま、現場を守っているみなさま、何より多くの学びを与えてくださった患者・家族のみなさまに感謝申し上げます。
いまだに先が見えない新型コロナウイルス感染症との戦いは続いています。マスク越しの会話は当たり前になり、人と人とが距離を保ち、アクリル板がおかれることが当たり前の日常となりました。そんな中、ロシアのプーチン大統領はウクライナが常にロシアにとって脅威だからというだけで、2022年2月24日早朝にミサイル攻撃、爆撃機、地上軍を用いてウクライナに総攻撃を開始しました。たくさんの市民が巻き添えになり、いのちを奪われ、避難せざるを得ず故郷をも奪われる自体となっています。ウイルスによって奪われた日常や、戦争によって奪われた日常を考えると、平和のうえで医療は成り立っているものとつくづく実感します。
実行委員会は9月から開催し、一同で検討してきました。メインテーマを決めるにあたり、「コロナ禍で疲れている医療者が癒されているようなイメージがいい」や「やはり手のぬくもりで人は癒される」などの意見をもとに決定しました。講演は「介護付き住宅はっぴーの家ろっけん」の首藤さんにお願いしました。背景が異なる人が集まるからこそ、想定外の化学変化が生まれるそうです。これまでの日常がウイルスや戦争によって揺るがされている今日を生きていくうえで、さまざまなヒントが得られるのではないかと思います。文化企画は設備上の制限があるにせよ「みんなが癒されるような企画にしたい」と考え、ゴスペルをお願いすることにしました。
看護・介護活動研究交流集会に参加することで、毎日頑張っているみなさまが癒され、さらに元気になることを願っています。また、本日出会った事例や活動報告を職場に持ち帰り、話し合い、工夫しあい、患者さんやご家族にさらに質の高い看護・介護が提供されることを願っています。ウイルスや戦争によって奪われた日常から、ふたたび平和を取り戻せることを願い、挨拶とさせていただきます。