神奈川民医連とは私たちの理念とあゆみ
会長あいさつ
神奈川県民主医療機関連合会
会長 野末浩之
神奈川民医連は1953年に結成され、およそ70年の歴史を有しています。そのルーツは無産者診療所(第二次世界大戦前のファシズムの時代、多くの良心的な医師、看護師、医療関係者によってつくられた、労働者・農民を対象とした医療機関)にあり、現在4病院、25診療所、65の薬局や介護・福祉施設が加盟しています。
神奈川民医連はいくつもの特色を持っておりその一つが「アウトリーチ」です。訪問行為が診療・介護報酬の算定を受けるはるか昔から、地域に出向き、住民の皆さんに寄り添う活動を続けてまいりました。医科、歯科の訪問診療・訪問看護・訪問服薬指導、訪問介護、そしてソーシャルワーカーや全職員による「気になる患者さん訪問」など、困りごとを抱えた人びとのもとへ、昼夜を分かたぬ訪問活動を行っています。
神奈川民医連では「無料低額診療」も積極的に行っています。これは「低所得者」「要保護者」「路上生活者」「DV被害者」など生活困難者を対象として、医療機関が無料または低額な料金によって診療を行うものです。現在県連内の多くの事業所が無料低額診療事業を行っています。また私たち神奈川民医連の病院では、入院に際して差額ベッド料金は頂いていません。
現在も、初期・後期臨床研修医の育成や看護師、各種コメディカル、介護、事務職員の採用と教育に力を入れており、患者さんを中心としたチームでの医療・介護が、病院から地域へと切れ目なく提供できる体制づくりを心掛けています。毎年のように発生する地震、水害等に対して災害被災地への医療支援にうかがっています。そして戦争や核兵器を健康阻害要因としてとらえ、平和の大切さについて学び、核のない世界の実現に向けての活動も大切にしています。
神奈川民医連は地域の皆さん、関係団体と連携して、平和で持続可能な未来社会の実現に向けたまちづくりの取り組みを継続してまいります。どうぞよろしくお願い致します。
あゆみ
戦後の傷跡がつよく残り、くらしはもとより飢餓・伝染病などで生き長らえることすら困難な時代、多くの住民の支援と医療従事者の協力で各地に民主診療所がつくられました。
神奈川民医連は、1953年にこれらの診療所の連合体として結成され、以来、地域から求められる医療と介護、社会保障充実の運動、公害、災害救援、労災職業病など社会問題に取り組んできました。現在は、病院・診療所・薬局・介護事業所老人施設など93の医療と福祉の事業所が加盟する団体になりました。
私たちの医療と介護・福祉に対する基本姿勢は、患者・住民の意見を常に反映させ、安全でより良い医療と介護・福祉をともにつくりあげていくことです。また、私たちは基本的人権、生存権がどんなときにも保障され、国と地方自治体の社会保障制度が後退することなく、社会の進歩とともに発展しなければならないと考えています。
日本は不戦を誓う日本国憲法第九条をもっています。また、県内すべての市町村が非核自治体宣言を採択しています。しかし、神奈川県には沖縄県に次ぐ米軍基地があり、核兵器持ち込みと基地公害が常に存在しています。
私たち神奈川民医連は、医療と介護・福祉を充実させるとともに、日本国憲法を守り平和で安心できる暮らしを築き上げる運動を、広範なひとびととちからを合わせ取り組むことを決意し、以下のとおり宣言します。
- 心がかよいあう医療・介護・福祉をめざします
私たちは、患者・住民のみなさまと共につくりあげる医療・介護・福祉、心がかよいあう医療・介護・福祉をめざします。 - 安心してくらし、住み続けられるまちづくりをすすめます 私たちは、県民の多様な要求にこたえていく地域ネットワークづくりをすすめ、子どもたちや高齢者・障害をもつ人が安心してくらせるまちづくりに積極的に参加します。そして、県民が等しく保健・医療・介護・福祉が受けられるよう、行政、医療、福祉施設、ボランティアなどとの連携をつよめます。
- 社会保障の充実すすめます
私たちは、差別のない平等の医療をすすめる立場から、差額ベッド料金はいただきません。また医療・介護・福祉を担う従事者として、社会保障制度の後退につよく反対し、県民とともに社会保障の充実を国と自治体にはたらきかけていきます。 - 安全性を重視して新しい医学・医療技術の導入をすすめます
私たちは、日進月歩する医学・医療・介護・福祉の考え方と技術を常に学び、安全性を重視してその成果を導入します。そして、ヒューマニズム、科学性、倫理性、社会性のもった職員の育成に努めます。 - 核も基地もない平和な神奈川をめざします
私たちは、いのちを大切にする仕事に携わるものとして、日本国憲法をないがしろにする動きに反対し、広く県民と協力して、核兵器の廃絶と米軍基地撤去の運動をすすめます。
民医連綱領
私たち民医連は、無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす組織です。
戦後の荒廃のなか、無産者診療所の歴史を受けつぎ、医療従事者と労働者・農民・地域の人びとが、各地で「民主診療所」をつくりました。そして1953年、「働くひとびとの医療機関」として全日本民主医療機関連合会を結成しました。
私たちは、いのちの平等を掲げ、地域住民の切実な要求に応える医療を実践し、介護と福祉の事業へ活動を広げてきました。患者の立場に立った親切でよい医療をすすめ、生活と労働から疾病をとらえ、いのちや健康にかかわるその時代の社会問題にとりくんできました。また、共同組織と共に生活向上と社会保障の拡充、平和と民主主義の実現のために運動してきました。
私たちは、営利を目的とせず、事業所の集団所有を確立し、民主的運営をめざして活動しています。
日本国憲法は、国民主権と平和的生存権を謳い、基本的人権を人類の多年にわたる自由獲得の成果であり永久に侵すことのできない普遍的権利と定めています。
私たちは、この憲法の理念を高く掲げ、これまでの歩みをさらに発展させ、すべての人が等しく尊重される社会をめざします。
一.人権を尊重し、共同のいとなみとしての医療と介護・福祉をすすめ、人びとのいのちと健康を守ります
一.地域・職域の人びとと共に、医療機関、福祉施設などとの連携を強め、安心して住み続けられるまちづくりをすすめます
一.学問の自由を尊重し、学術・文化の発展に努め、地域と共に歩む人間性豊かな専門職を育成します
一.科学的で民主的な管理と運営を貫き、事業所を守り、医療、介護・福祉従事者の生活の向上と権利の確立をめざします
一.国と企業の責任を明確にし、権利としての社会保障の実現のためにたたかいます
一.人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります
私たちは、この目標を実現するために、多くの個人・団体と手を結び、国際交流をはかり、共同組織と力をあわせて活動します。
2010年2月27日
全日本民主医療機関連合会第39回定期総会