神奈川民医連

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【声明】2021年東京オリンピック県内競技の開催中止を求める

2021.06.26

【声 明】

2021年東京オリンピック県内競技の開催中止を求める

 

2021年6月24日

神奈川県民主医療機関連合会

会長 野末浩之

神奈川県は、6月15日現在も重症者用病床の使用率が21.61%、人口10万人当たりの療養者数は18.34人とステージⅢを前後する状態であり、医療体制のひっ迫は引き続いている。インドで見つかった変異株(デルタ株)の拡大による第5波到来の恐れも指摘されている。こうした状況のもと、東京オリンピック・パラリンピックについて、多くの感染症専門家も開催に警鐘を鳴らしている。

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会によれば、観客や大会関係者など来訪者が1日最大約34万人となり、大会を開催した場合、都内では8月末に新型コロナウイルスの新規感染者数が1,000人程度となり、開催しない場合に比べ約200人多くなると試算している。大会では各地から来訪者が集まるため、感染が神奈川県を含む全国に広がる危険性がある。

また、京都大学大学院教授の西浦博氏は、仮に高齢者のほぼ全てに7月末までに新型コロナワクチンを接種したとしても、東京都では、オリンピックの開催の有無によらず、遅くとも8月中旬までには緊急事態宣言相当の流行になることが避けられない可能性があるとの推計を公表された。東京都と業務等で人の移動を避けることができない神奈川県も、多大な影響が予測される。

県内ではセーリング、野球・ソフトボール、サッカー、自転車競技の開催が予定されている。事前キャンプで6月下旬~9月上旬にかけて県内の10市3町で、15か国の選手・関係者の受け入れが予定されており、県内滞在人数は約3,000人とされる。15日に公表された「プレイブック第3版」は、第2版に比べ一定の改善はあるが、チームの一員であるCLO(新型コロナウイルス対策責任者)がルール順守の責任を負うため「完全に徹底させることはできない」とも言われている。関係者を隔離し、外部との接触を断ち切る「バブル方式」の実効性も、完全に担保されたとは言い難い。

他の医療団体からも「大会関係者の輸送に従事するバスやハイヤーの乗務員(多くは、公共交通機関を使用して自宅と勤務場所を往復することから、県民にも多く接触する機会がある)への感染予防対策」「ボランティアへのワクチン接種などの感染防止対策」「東京都で発生する患者の増加が、一定の割合で神奈川県内患者の増加につながる中、この要素も含めてシミュレーションを行う必要性」等の問題が指摘されている。

人の集合そのものが、感染機会の増加につながる事実を受け止め、県民のいのち、健康を守るため、一般医療への影響を最小限にするよう、今こそ県知事自ら「県内でのオリンピック競技開催中止」を決断すべきである。

以上